数年に一度現れるという「もしかしてこの人、設計事務所に向いているのでは？」と思えるお客様。何度かオープンハウス（内覧会）に来て頂いていたその方は、いつも仲良く一緒に来られるご夫婦の奥様でした。打合せのたびに出て来る丁寧なスケッチや、家族の暮らし方のそこここまでをイメージした話す内容は、図面を描くこちらの方にも明確にわかりすぎるほど。コンセプトってこういうことなんだ、と感じたことが、当時も今も言えません。
そうして出来上がった建物は、何かすごく柔らかく、リラックス感にあふれた居心地の良い家になりました。
しばらく経って伺った際にも、あちこちに置かれている物にさえ、よくよく考えた後に揃えた感が。
実力者は得てして語らず。「あんまりこだわってないですよ」の言葉の裏には、これからも緩やかに変わっていくこの家のイメージが、家族と共に柔らかく見えているのに違いありません。